Reever knotで蝶結びをする

安全な蝶結びとして稲垣蝶結びの記事を書いている。

 

inagakikouji1980.hatenablog.com

 

上の記事の中で触れている様にReever knotも安全です。引きとけで結んだ動画が次です。

 

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この結び方は安全です。動端は、輪と元、に垂直になっている。なので解くときにジャムりにくい。稲垣蝶結びよりは練習が必要だろう。結び方を失敗するとただの蝶結びになる。

 

本結びと縦結び、を安全にする

本結び(reef knot、square knot)と縦結び(granny knot)は安全では無い。強度が足りない為bendとして採用されていない。しかしこの2つの結び方は巻数を増やすことによって安全になるだろう。それぞれ3種類思いつくけれどそのうちの1つづつを紹介する。

 

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強度実験はしていません。

稲垣蝶結びは自然にほどけない新しい、靴紐の結び方です。INAGAKI shoelace knot

新しい結び方、稲垣蝶結びを動画で説明

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従来の結び目は自然に解ける

従来の靴紐の結び方は歩行して長い時間が経つと自然にほどけてしまう。イアンセキュアシューレースノット(Ian's secure sholace knot)は解けにくいものの自然に解ける。

www.fieggen.com

長い時間とはゴム紐で結んだりジッパー付きの靴の紐を結ぶなど、靴紐を結び直さない時間です。

蝶結びが自然に解ける論文の引用

蝶結び(蝶々結び、花結び、shoelace knot、bow knot)と縦結びの蝶結びが自然に解ける現象を解析した論文がある。

The roles of impact and inertia in the failure of a shoelace knot

Christopher A. Daily-Diamond , Christine E. Gregg  and Oliver M. O'Reilly
Published:12 April 2017

https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspa.2016.0770

 

phys.org

Center of knot "opened" by inertia of free ends and loops.

https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspa.2016.0770

Figure 3(b) より

振るテスト

歩行中に靴紐が自然に解けるのを待つのには時間が掛かる。短時間で蝶結びが解けるテストをした。

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テストの仕方は、靴紐を結んで、片方の元(standing end)から鞭打つ様に振る、というものだ。これは歩行中に靴紐が運動するということを再現している。元は固定されていて、紐には元から離れる方向に慣性が発生する。

動画では、蝶結びは短時間で解け、イアンセキュアシューレースノットはそれより長い時間で解け、稲垣蝶結びは解けていない。

補足。ナイロンコードでは無い普通の紐で結び、元同士を引くと、結び目は固くなり解けるまでに時間はかかる。元を2つ持ってテストすると解けるまでに時間はかかる。これらの時間をかけても稲垣蝶結びは解けない。

蝶結びの説明

本結びと縦結びはhalf knotを2回繰り返した結び方です。本結びは縦結びより解けにくいです。蝶結びは本結びの2回目のhalf knotを引きとけで結んでいます。外科結びは本結びの1回目のhalf knotをdouble half knotにした結び方です。イアンセキュアシューレースノットは本結びの2回目のhalf knotをdouble half knotにして引きとけで結んでいます。イアンセキュアシューレースノットは自然に解けにくくなっているものの本質的には蝶結びと同等の結び方です。

蝶結びの引きとけで結んだ紐は動端(末端、端、手、working end、running end)と輪(loop、bight)で構成される。輪は、輪の動端に近い方、輪の元に近い方(結び目に近い方)、で構成される。

次の画像はhalf knot。

half knot

稲垣蝶結びの説明

稲垣蝶結びの結び方は、triple half knotの2つの動端が輪を形作る様にして、両輪に2つの動端をそれぞれ引きとけで通す。この結び目はReever knotと同じ種類で、Reever knotの動端と元が入れ替わったものです。次の引用元で言うところの、元をB-Bに選んだ結び目です。

en.wikipedia.org

次の画像はtriple half knot。左からの元は赤色で表現しています。

triple half knot

 

次の画像は稲垣蝶結びの結び方。

稲垣蝶結びの結び方

引っ張るテスト

もっと短時間で解けるテストをした。蝶結びの片方の動端と、輪の動端に近い方を持ち、紐の垂直方向に引っ張る。すると、結び目は内側から拡がり一瞬で解ける。この時、2つの元は固定してある。結び目の内側(1回目のhalf knotと2回目のhalf knotの間)から拡がり解ける現象は引用元の論文で観察された現象と同じです。蝶結びの2回目のhalf knotが解けています。

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この張力は、歩行中の「動端と輪」の慣性力を強くしたものです。このテストで解ける結び目は歩行中に自然に解けると考えられる。裏返せば、このテストで解けない結び目は歩行中に自然に解けないと考えられる。

このテストで稲垣蝶結びは解けずに3kgの重りを持ち上げている。

 

本結びは、ひっくり返る

本結びは片方の動端と元を引っ張ると、ひっくり返る(capsize、転覆する)事が知られています。一方、本結びの動端を2つ同時に元と同方向に引っ張れば結び目は固くなります。また、2つの元を引っ張ると結び目は固くなります。歩行中に、この3つの事象の内どれが起こるのか?本結びで、結び目を振るテストをする。動端の慣性力は元に垂直に加わるので結び目は固くならない。2本の元と2本の動端を持ち引っ張る状態になる。結び目は現状維持の状態が観察される。

蝶結びは自然に解ける

つまり蝶結びの元と、輪の結び目側は、歩行中に結び目を固くしない。この事と蝶結びを引っ張るテストにより蝶結びの動端と輪は結び目を内側から拡げ、歩行中に蝶結びは自然に解ける事が理解できる。

他の現象

蝶結びの結び目を指でつまみ、揉むと結び目は緩む。歩行中、靴の舌との間でこの現象は起こりうる。

足を上げた時結び目だけで靴を支えているのではないので2つの元の張力は低いと憶測される。足の甲(面)で支えている。よって、元を引っ張り結び目を固くする効果は少ないと憶測される。

イアンセキュアシューレースノットについて

引っ張るテストをしても一瞬で解けない場合がある。動端が上手く結び目の内側に来ている場合です。しかし1回目のhalf knotは弱く結び目が拡がり動端を保持する摩擦力が足りない。

普通の靴紐で1日程度ならこの結び方でも自然に解けないだろう。

結び目の強度

2本の紐がある。2つの動端を結び、2つの元を引っ張る。この時、張力が釣り合う為には結び目に摩擦力が働く必要がある。片方の紐に注目すると、元に張力がかかり、動端には張力がかからずに、結び目の摩擦力で元からの張力と釣り合う、ということです。結び目に生じる摩擦力を理解するためにキャプスタン方程式を参照する。

ja.wikipedia.org

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棒に紐を巻き付けると「巻数×摩擦係数」に指数関数的に比例して摩擦力が生じる。上の動画では、張力がかかる元は、棒と紐の間の摩擦力、と紐の動端の軽い重さ、で釣り合う。棒と紐の間の摩擦力は張力が掛かっているため元に近い部分で強い。また、動端に近い部分で摩擦力は低い。安全な結び目を作るためには、動端を棒の代わりにして、元に近い複数の輪に通す。

2つの紐の場合、各々で輪を何周か形作り、2つの動端をこの輪に通したものが、安全な結び目と考えられる。2つの紐を結ぶことはbendと呼ばれている。安全なbendの例はZeppelin bendとReever knotが知られている。これらの結び目は上記の特徴を持っている。

稲垣蝶結びも安全と言える。

 

 

結論

稲垣蝶結びは引っ張るテストを耐える。歩行中の「動端と輪」の慣性力よりも、この結び目の摩擦力は強いので自然に解けない。

 

 

 

用語

用語集は英語だとWikipediaにある。

List of knot terminology - Wikipedia